従業員の引っ越しで会社が行うべき住所関係の諸届出
2020.12.06提出先や提出期限を記したチェックリストを作成し、漏れのない手続をしましょうの話
1.マイナンバー紐づけなら健康保険届出省略
従来は、従業員の引っ越しがあれば、健康保険・年金の住所変更届が必要でした。
しかしながら、平成30年3月から、基礎年金番号とマイナンバーが結びついている厚生年金保険被保険者については、年金事務所が住民票の異動情報を取得することで、会社側からの住所変更届等の省略となっています。
紐づけがされていなければ、従来通り、住所変更届等の提出が必要です。
2.給与計算にかかる変更届
(1)所得税
給与計算関連では、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告扶養控除等申告書」に記載してある住所が変更となっていますので、異動の日後、最初に給与の支払いを受ける日の前日までに異動の内容等を記載した申告書を提出してもらう必要があります。なお、変更旧住所に取消し線を引き、余白に新しい住所を記載する形式でも構いません。
(2)住民税
住民税の特別徴収は、当年1月1日に居住していた自治体(=旧住所)に課税権があり続けますので、変更届は不要です。
(3)年末調整・給与支払報告書
従業員の1年分の給与・所得控除・年税額などは源泉徴収票に記載され、本人に渡されるとともに、一定額(非役員の従業員は500万円など)超の場合には税務署にも提出されることになります。そこに記載される住所は引っ越し後の新住所となります。
住民税は、前年分所得を翌年1月1日に住所地がある自治体に「給与支払報告書」を1月末までに提出しますので、そこから新住所のある自治体で課税が始まります。
3.年の途中で退職した場合の書類の届出先
(1) 住民税「給与所得者異動届出書」の提出
退職により住民税の特別徴収ができなくなる場合には、「給与所得者異動届出書」を当年1月1日に住所(=引っ越し前の旧住所)がある自治体に提出することとなります。
(2)退職金の特別徴収
退職金の支払いがあり、特別徴収税額が発生する場合には、住民税(10%)の「退職所得にかかる納入申告」の提出先は、当年1月1日に住所(=引っ越し前の旧住所)がある自治体に提出することとなります。
退職所得についてはその性質から翌年に課税せずに、他の所得と分離して退職所得の発生した年に課税する方法(現年分離課税主義)を採っているためです。