当事務所の所長・スタッフが不定期ですが情報を更新していきます。
第②話~ほこり~
2012/07/18
・・・第①話・・・を読んでからお進みください。
by スタッフK
暗くなりかかった部屋へと一気に飛び込んだわたしは、勢いづいた体の重さをそのまま泥棒にぶつけ、さらに鉄製の靴べらは『振り上げて殴りかかる』よりもよりも『突いて使用する』ほうが相手にとって致命傷を与えられるはずだと刹那に思いついていた。
致命傷を与えるまでの一連の動作を考えつくまでの時間は鉄製の靴べらを手にとってから部屋に飛び込んだときまでのほんの1,2秒だったろう。
ただ、ここまでの一連の動作と思考を客観的に俯瞰している自分がいることに気づくほど冷静にもなっていた。
飛び込んだ勢いを保ったまま、アクセルを全開にするように敵の位置を確認することに全神経を集中する。
しかし、敵の位置は認識できない。
わたしのカラダは慣性の法則に従い、部屋の入口から約1メートル内側に停止した。
しかし、まだ全身には大量のアドレナリンと糖と血液が溢れていて、いつ飛びかかられてもいいようにカラダは準備を怠っていない。
まだ小さな話し声は聞こえている。
「なめやがって」
奥歯をかみしめ呼吸を止めた。
まだ話し声が聞こえる。
わたしが飛び込んだ音は聞こえているはずだが、まだ話し声が聞こえているのはなぜだ?
そのとき。
ウチで飼っている茶トラのネコがおかえりをいいに擦り寄ってきた。
こいつは家族以外の人間が家にいると押入れなどに隠れたまま出てこないはずなのだが。
茶トラは更にお腹をなでろと「ゴロン」と横になった。
誰かがいるのなら、コイツはこんなことはしないはず。
次の瞬間。
部屋で分厚いホコリをかぶっていた「おしゃれラジオ」からパーソナリティの高らかな笑い声が聞こえてきた。
まさか!?
そう思い「おしゃれラジオ」に駆け寄ったわたしは、電源ボタンに『ある決定的なもの』が残っていることを確認した。
そう。
「分厚いホコリをかぶったおしゃれラジオ」の電源部分に残った、飼い猫の足跡を。
・・・・・・。
茶トラよ。
今日はお前にシーバ(写真の高級猫エサ)はやらん。。